サイドチェイン・コンプレッションをかける(SIDE CHAIN)

「SOURCE」に設定したバス(ソース・バス)によって、「TARGET」に設定したバス(ターゲット・バス)にサイドチェイン・コンプレッションをかけます。

ソース・バスの音量があるしきい値を超えると、その超過分に比例して、ターゲット・バスの音量が下がります。

SIDE CHAINの設定次第では、ソース・バスの音が前へ出てくると同時に、ターゲット・バスの音が後ろへ避けるように聞こえます(ダッキング効果)。これにより、たとえば低音域の中に埋もれがちなバス・ドラムの輪郭を強調したり、バスの音量に動的な変化をつけて独特なグルーブ(ノリ)を表現したりすることができます。

パラメーター

設定値

説明

SOURCE

DRY、BUS 1、BUS 2、BUS 3、BUS 4

コンプレッションを動作させるバス(ソース・バス)を選択します。

TARGET

OFF、DRY、BUS 1、BUS 2、BUS 3、BUS 4

コンプレッションをかけるバス(ターゲット・バス)を選択します。

THRESHOLD

0~255

ターゲット・バスにコンプレッションをかける基準となる、ソース・バスの音量のしきい値(スレッショルド・レベル)を調整します。この値が大きいほどスレッショルド・レベルが下がり、より小さな音量でコンプレッションがかかります。

RATIO

0~255

ソース・バスの超過レベルに対するコンプレッション・レシオを調整します。この値が大きいほどターゲット・バスにかかるコンプレッションは深くなり、極端な値では音量がゼロまで下がります。

RELEASE

0~255

コンプレッション効果の減衰時間(リリース・タイム)を調整します。この値が大きいほどターゲット・バスの音量が緩やかに戻り、ソース・バスの音量がスレッショルド・レベルを下回ってからもしばらく効果が続きます。

GAIN

0.0dB~6.0dB

最終出力の増幅量(メイクアップ・ゲイン)を設定します。コンプレッションによって下がった音量を全体的に引き上げることができます。

メモ

  1. 「SOURCE」と「TARGET」を同じバスに設定すると、一般的なコンプレッサーと同等の効果が得られます。
  2. DRY Routing」が「BUS 3」に設定されている場合、ソース・バスまたはターゲット・バスに「DRY」を選ぶことはできません。このとき、値は「(DRY)」と表示されます。
  1. [SHIFT]ボタンを押しながら、パッド[13]を押します。
  2. UTILITY MENU画面が表示されます。
  3. [VALUE]つまみを回して「EFX SET」を選び、[VALUE]つまみを押します。
  4. エフェクト設定画面が表示されます。
  5. メモ

    1. トップ画面で[SHIFT]ボタンを押しながらパッド[16]を押しても、この画面を表示することができます。
  6. [CTRL 3]つまみを回して、「SIDE CHAIN」を選びます。
  7. [VALUE]つまみを回して、エディットするパラメーターにカーソルを合わせ、[VALUE]つまみを押します。
  8. 値の表示が反転(ハイライト)します。値が変更できるようになります。
  9. [VALUE]つまみを回して値を選び、[VALUE]つまみを押します。
  10. パラメーターの値が決まります。
  11. ここでパラメーター「TARGET」を「OFF」以外の値に設定すると、SIDE CHAINが有効になります。
  12. 設定を終了するときは、[EXIT]ボタンを押します。

SIDE CHAIN活用のためのヒント

サイドチェイン・コンプレッションを効果的に使うためには、目的に応じて各サンプルの出力先を3つのバス(BUS 1、BUS 2、DRY)に割り当てることが必要です。その際、ミックス全体の中でそれぞれの音の位置づけが明確になるように、各バスの役割分担を意識することが重要になります。

ここで、たとえばミックスの中に埋もれてしまったバス・ドラムの音を強調する方法を例に説明します。

まず、強調したいバス・ドラムがサイドチェイン・ソースになるようにバスを設定します。

「SOURCE」を「DRY」に設定する場合は、バス・ドラムのサンプルを同じく「DRY」に割り当てます。そしてバス・ドラムと帯域が被る音など、音量を下げたいサンプルを「BUS 1」か「BUS 2」にまとめ、このバスを「TARGET」に設定します。

メモ

  1. 必要に応じて、バスのルーティングを変えてみるのも良いでしょう。ルーティング「TYPE A」ではBUS 1とBUS 2がこの順でシリアルに接続されますが、「TYPE B」ではパラレルになります。
    たとえばサイドチェイン・ソースになるバス・ドラムにもエフェクトをかけたい場合は、ルーティングを「TYPE B」にすれば、バス・ドラムとそれ以外の音とでエフェクトのバスをBUS 1、BUS 2に分けることができます。

次に、サイドチェイン・コンプレッションがうまく作用するように、パターンを再生しながらバス・ドラム(ソース・バス)の音量に合わせてスレッショルド・レベルを調節します。このとき、「RATIO」の値を最大、「RELEASE」の値を最小にして「THRESHOLD」の値を変えることで、コンプレッションがはたらき始める値がはっきり分かります。

コンプレッションの効果を確認できたら、一度「RATIO」の値を「100」にしてから、自然に聞こえるミックスになるまでパラメーターの調整を続けます。バス・ドラムの音が短く鋭い場合(ソース・バスの音がパーカッシブで、音量の変化が激しい場合)は、リリース・タイムを長めに設定しないと、ターゲット・バスの音が途切れるように聞こえてしまいます。また、自然に聞こえるリリース・タイムの長さはパターンのテンポにも反比例します。

メモ

  1. 必ずしも自然な聞こえ方を狙わない場合は、コンプレッション・レシオをより大きくして、リリース・タイムを短くするのも方法のひとつです。
    このような極端な設定においては、ソース・バスの音が鳴り止むたびにターゲット・バスの音が大きくふくらむように聞こえたり、あるいはソース・バスの音が鳴るたびにターゲット・バスの音がそれに吸い込まれるように聞こえたりすることがあります(ポンピング効果)。これはミキシングにおいては好ましくありませんが、そこで生まれる独特のグルーブに注目すれば、音楽的効果として意図的に活用することができます。

スレッショルド・レベルが低く(つまり「THRESHOLD」の値が大きく)レシオが大きいほど、コンプレッションのかかり方は深くなり、ミックスの音量が全体的に下がってしまいます。この音量を補うものがメイクアップ・ゲインです。ターゲット・バスの音量が十分保たれるように「GAIN」の値を設定しましょう。ただしソース・バスの音が止むと、コンプレッションがかからなくなり、ターゲット・バスの音量が常に大きくなります。

コンプレッサーのパラメーターをエディットしていると忘れがちなことですが、ミックス全体の完成度を決めるのは、それぞれの音のバランスです。サイドチェインを使っても納得のいく効果が得られない場合は、各サンプルの音量を設定し、バスの間の音量バランスを調整してみましょう。

以上で示した設定は、SIDE CHAINを活用するための一例に過ぎません。自由な発想で様々な設定を試してみてください。